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越えられぬあなたへ(父への古希祝)三男

  • 執筆者の写真: AKI
    AKI
  • 2020年10月21日
  • 読了時間: 5分

おしゃべり好き。

お酒が入ると、父や兄たちは、自らの体験談を話したがる。

そんな光景をよく見てきた。

兄たちとは、少し年が離れているから、

自分にはまだ身をもって体験できていないことも多くて、話に入っていけなかった時期もある。

だけど、その様子は、いつだって楽しそうで、

ずっと憧れに近い感情で、その光景をまなざしていたように思う。

物心ついた時から、兄や姉に囲まれて生きてきた。

父は仕事で帰りも遅く、子どもたちが寝静まってから帰宅することもあった。

常に一緒に居られたわけではないけれど、それでも寂しくなかったのは、

休日には、サッカーの試合を見に来てくれたり、キャンプに連れ出してくれたり、

どんなに疲れていても、できる限りのことをしてくれた父の愛情を感じてきたからだ。

小学校3年生くらいだっただろうか。

家族みんなでキャンプに出掛けた時。一度だけ、父と母と自分の3人だけで、

朝、釣りに出かけたことがあった。

小さい魚が一匹だけつれた。自分の力で魚を釣ることができたこと。

父と母に褒めてもらえたこと。得意げな気持ちになったことをよく覚えている。

ずっと家族に囲まれて育ってきた自分が、父と母を独占した時間。

その特別感がうれしかったのかもしれない。

土曜日は、父が料理をしてくれた。

料理といっても、ラーメンとか簡単なものだったけれど。

「おやじの料理」「おやじのラーメン」

今でもその光景を覚えているのは、

きっとそれが、特別な時間だったからだ。

普段は「仕事で家族を支える」父と、同じ時間をゆっくりと過ごせる特別感。

普段は味わえない、父の味を感じる時間。

末っ子の自分は、とても自由に、育ててもらった。

進学も習い事も、どうしたいか、何をしたいのかを自分で決めてきた。

何かを強制されたことも、自分の望む道を否定されたことも、一度だってない。

やりたいことをやらせてくれた。

だからこそ。

悩み事があったとしても、向き合って自分で解決して、

いろんな課題を乗り越えて、目標をクリアして。

そういう経験を積み重ねることができた。

だから、厳しいことがあっても、乗り越えられると、自分を信じることができている。

仕事においても、課題に対してどう解決していくか、逆算思考で考えて、

周りを巻き込みながら、向き合っている。

自由な発想で、次々とアイデアをだしながら、和気あいあいとできている。

その発想が正しいかどうかは別として、自分の意思を制することなく、

周りを信頼して、出し切ることができている。

それは、周りの人に恵まれているからこそ、できること。

人間関係を作っていくうえで、何か大切にしていることがあるかと聞かれたら、

あまり意識したことはない。

素のままの自分で。素直なまま。

演じるとかはできない。そんなに器用じゃないし。

ありのままの自分を出して、

それを好きと言ってくれる人たちに囲まれて生きることができている。

社会人になってから特に、働くことの大変さを思い知り、

4人の子どもを抱えながら働いてきた父のすごさに気づいていった。

高校生までは、そこまで、理解できていなかったのだと思う。

大学生になって、就職を意識しはじめていた頃、

思い出す光景がある。

長崎に単身赴任をしていた父を訪ねた時、お高めのごはん屋さんに連れて行ってくれた父。

そこは父の仕事関連のお店だったようで、お店の人やいろんな人が父に話しかけに来た。

全く知らない土地に来ているはずなのに、この人間関係を築ける父を、

すごいなぁと、心の底から感じたことを覚えている。

改めて、父のコミュニケーション能力を、そこに見た気がする。

産業ロボットの開発・設計。

技術畑の自分は、営業職だった父とは、仕事の感覚が違う部分もあると思う。

だけど、営業職が技術職に何を求めているのか。

クライアントのために営業職とどう連携するのか。

そんなことの一つ一つを、父は自分にアドバイスしてくれる。

出張の際にお土産を持って行くのも、父からのアドバイスの一つだ。

大学4年生の頃、就職の相談をした。

あらゆる経験を積んできた父のアドバイスは、

絶対に自分をいい方向に導いてくれる。

いいアドバイスを、絶対にもらえるという信頼感が、父にはある。

父や兄たちが、楽しそうに仕事論を語るのを見ていた、あの頃の自分に比べれば、

今は少し、対等になりつつあるのかも、と思う。

父とお酒を呑みながら話すのは、ためになるし、

とても嬉しい。自分の道しるべになっているなっと感じる。

「父や兄たちは、呑むと自分の話をしたがる」

そう思っていたけれど、妻に言わせれば、どうやら自分も同じみたいだ。

34歳。

結婚して、子どもが出来て、責任はますます増していく。

仕事でも、またさらにここから責任ある立場になっていくのだと思うと、

それを乗り越えながら、自分たちを育ててくれた父に、尊敬の念がこみ上げてくる。

子ども一人育てることが、どれだけパワーのいることか。

仕事で疲れている中で、金銭面もそうだけれど、これが4人だなんて、本当にやばい。

感謝。

父に「ありがとう」と、心から伝えたい。

父と母。

父と母にそっくりな兄と姉。

末っ子の自分は、常に先を行く家族の姿を見てきた。

だからこそ、年を重ね、経験を積んでいくことに、希望が持てる。

「こうした方が楽しそうだ」と常に前向きな道しるべを示してくれるから。

父と母のような家庭を自分も築きたい。

だけど、

お酒とお菓子はもう少し控えてください。

そこだけは真似したくないところ(笑)。

少しでも、長生きしてほしいから。

いつか一緒にキャンプに行きたい。

父がしてくれたように、自分の子どもにも同じ経験をさせてあげたい。

そこに父と母がいてくれたら、うれしい。

そこにはきっと、「父親」としての自分と、

「父の息子」としての自分がいるだろう。

いくつになっても、まだ自分は「父の子」なのだ。

34歳。

まだまだ、これからだ。

だからいつまでも、年を重ね、経験を重ねることに希望が持てる、

そんな背中を見せていてください。

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